マ王の花嫁
「いいえ。怖くはありません」と言葉で答えてはいないものの、私の態度を返事とみなしたのだろう。
ライオネル王は、フッと笑って親指で私の頬を優しく一撫ですると、私から手を離した。
「己の我欲を膨らませ、邪な考えに取り憑かれている“魔者”は、確かにこの世に存在するだろうが、所詮そ奴らとて人間であることには違いない。当然ながら俺もれっきとした人間だ。大体、この世に“魔王”など存在せん」
「あ・・・そ、うですよ、ね・・」
至極もっともな論をライオネル王に言われた私は、あっさりと納得した。
王ってすごく賢い人なのかも・・・いや、実際賢い人に違いない。
賢くなければ、この若さで大国の王として君臨する事はできないだろうし。
「まだ肖像画を見たいか?」
「え?ええ。はいっ」
「では行こう」
何事も無かったかのように歩き出したライオネル王の大きく広い背中を追いかけるように、私も歩き出した。
ライオネル王は、フッと笑って親指で私の頬を優しく一撫ですると、私から手を離した。
「己の我欲を膨らませ、邪な考えに取り憑かれている“魔者”は、確かにこの世に存在するだろうが、所詮そ奴らとて人間であることには違いない。当然ながら俺もれっきとした人間だ。大体、この世に“魔王”など存在せん」
「あ・・・そ、うですよ、ね・・」
至極もっともな論をライオネル王に言われた私は、あっさりと納得した。
王ってすごく賢い人なのかも・・・いや、実際賢い人に違いない。
賢くなければ、この若さで大国の王として君臨する事はできないだろうし。
「まだ肖像画を見たいか?」
「え?ええ。はいっ」
「では行こう」
何事も無かったかのように歩き出したライオネル王の大きく広い背中を追いかけるように、私も歩き出した。