マ王の花嫁 
バーバラ様の肖像画を見つめながら話すライオネル王の横顔は、母親を懐かしむ気持ちと、寂しく思う気持ち、どちらも現れているように、私には見えた。

ライオネル王は、母親だけでなく、父親も亡くされているのだ。
私も母を亡くしているし、父は・・・生みの父親は、“魔者”のような人だから・・・育ての親であるフィリップが、私にとっては父親で。
フィリップはまだ生きているけど、それでもフィリップに会えなくて寂しく思う気持ちはある。

悲しみを共有したくて、気づけば私は、逞しい王の腕に、そっと手を添えていた。

「どうした、マイ・ディア」
「あ、の・・・貴方様のお気持ち、お察します」と私が言うと、ライオネル王はフッと笑った。
そして、「俺が“魔王”でもか?」とからかい口調で私に聞き返す。

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