マ王の花嫁 
「強そうな見かけをしている男性も、親を恋しがったり寂しく思う時はあります。それに、貴方には優しさがありますから。少なくとも貴方は、無感情で冷徹だから“魔王”と呼ばれているのではないと私は思います」

ライオネル王には分かってほしくて、つい必死な口調で自分が思っていることを言ってしまったけれど、そんな私を王は邪険に扱うこともなく、口元に笑みを浮かべた。

「俺がこの見かけによらず、意外にも優しいのは、キセロ族である母上のおかげかもしれん」
「え?・・と言いますと」
「キセロの外見は、グルドと区別がつかぬほど似ているが、グルドよりも温厚な性格の持ち主が多いと言われている。だからと言って、グルドの者全員が冷酷だと言うわけでもないんだがな。この辺りの国の者は、グルドとキセロの2種族が大半を占めている。だから俺のように2種族の混血者も多いし、そいつらの中には、俺より優しい心の持ち主もいれば、俺より冷酷な奴もいるだろう」
「結局のところ、性格は民族ではなく、人それぞれ違うと言うことですよね」
「ああ。そうだな」

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