マ王の花嫁 
・・・“意外”ではなく、ライオネル王は本当に優しいと思う。
王の低い声音を聞くと安心するし、今みたいにニッコリした笑顔を向けられると・・・ドキッとするし・・・良い意味で。

そんなことを思っているなんて悟られたくなかった私は、ライオネル王におずおずと微笑みかけた。

ライオネル王は、こげ茶色の瞳で私をじっと見ている。
その視線はまるで射抜くように鋭くて、静かな空間の中に激しさがあるようで。
この場が急に狭くなったような、蜜な空間にいるような・・・ここにいるのは、王と私の二人だけなのだと、急に意識せずにはいられなくなった。

「おまえは・・・」
「はい?」

私の方へ手を伸ばしたライオネル王は、その手を止めると、また歩き出した。

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