マ王の花嫁 
恐る恐る目を開けた私は、すぐ間近にいる王の顔を見た。
そのお顔は、その“ゲーム”、受けて立とうという楽しみ?そういう表情を浮かべているように見える。

とりあえず、私は今すぐこの場で殺されることはない、のよね・・・。

ホッとしたのも束の間、ライオネル王がニヤッとした表情のまま、さらに私に近づいたので、私の心臓がドッキーンと跳ね上がった。

「俺を殺したければ、まずはサーシャに殺されないよう、気をつけろよ。マイ・ディア」
「はっ・・そ、そん、な・・滅相もない。貴方こそ・・殺されないよう、気をつけてくださいね」
「助言に感謝する。マイ・クイーン」

ライオネル王は、私から離れると歩き出した。
そして、2・3歩歩いたところで止まると、「ここを真っ直ぐ歩いて右に曲がれば庭園に出る」と言って・・・今度はそのまま歩いて行ってしまった。

今でもライオネル王を殺す機会はあったと思う。
それより、私がライオネル王に殺される機会の方が、たくさんあったはずだ。
どちらにしても、あの屈強な王を殺すなんて・・・いや、フィリップの言う通り、人を殺める事自体、やっぱり私にはできない!

コツコツと響くライオネル王の靴音を聞きながら、私は泣くのを必死にこらえて、出口へと歩き出した。

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