マ王の花嫁 
「いや。すでにライオネル王にはバレています」と言ってしまえば、サーシャは逃げ出すだろうか?
それならまだいい。
もし、サーシャがラワーレに逃げ帰って、ドレンテルト王にその旨“報告”したら。
フィリップや、村の人たちの命が・・・。
だから結局私はサーシャに、「あぁ」と無難、且つ曖昧な受け答えしか言えなかった。

鏡台(ドレッサー)の小さな椅子に座って、正面の鏡を見ながらを梳いていた私は、夕方、サーシャと交わした会話を思い出して、フゥとため息をつくと、櫛をそっとドレッサーに置いた。

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