マ王の花嫁 
翌朝の目覚めは悪かった。

夢を見たことは覚えているけれど、どんな夢だったのかは覚えていない、そんな曖昧とした感じが、心の中でモヤモヤしてるからだろう。
だから今感じているこれは、悪い予感がする胸騒ぎじゃない!
と自分に言いきかせながら、私はヨロヨロとベッドから下りた。



「おはよう、マイ・クイーン」
「・・・おはよう、ございます。ライオネル王」
「よく眠れたか?」
「あ・・・えぇ」
「そうか」

ライオネル王は、私の顔を覗き込むように見ながら呟くと、スッと手を伸ばした。
そして私の目の下を、親指の腹で優しく撫でるように触れる。

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