マ王の花嫁 
唇の片方を上げてフッと笑うライオネル王の姿を見たサーシャ以外の侍女たちから、ホゥと感嘆の息が漏れる。
つい見惚れてしまうその気持ちは、分からなくもない・・・ん?
ということは私、王に見惚れていたの!?

ついブンブンと顔をふった私を見て、ライオネル王が「どうした」と聞いてきた。

「えっ!いえいえいえいえ!」
「・・・そうか」と呟いたライオネル王の声は、笑いをこらえているように聞こえる。

「では頼んだぞ、エイリーク」
「お任せ下さい」
「また後でな。マイ・クイーン」
「あ・・・行ってらっしゃい、ませ」

「後で」って・・・?
と私は思いながら、広く大きく威厳あるライオネル王の後姿が見えなくなるまで、その場に佇んでいた。

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