マ王の花嫁 
「クイーン。こちらはアンブローズ・リアージュ公爵と、エマニュエル公爵夫人だ」
「王、並びに王妃様。ガンザへお越しいただき、どうもありがとうございます」
「あ・・こちらこそ。わざわざお招きくださって、どうもありがとう」
「やっと王妃様にお会いできて、とても光栄ですわ」
「まぁ、そんな・・・・えっ!?まあ!」

それは、シーザーそっくりな小犬で、違うのは毛の色くらい。
キャンキャンと吠えるような鳴き方や、尻尾を振って足元で甘える仕草まで、シーザーそっくりだ。

「こ、これはパトリシアの・・・!」
「待ちなさいギータ!待てって言って・・・あ」
「申し訳ございません王妃様!何分飼い始めたばかりなため、躾がなっておらず」
「気になさらないで」と私は答えると、屈んでその小犬を抱き上げた。
そして温かな毛並に頬ずりすると、小犬はキューンと喜びの声を返してくれた。

あぁシーザー・・・。
懐かしさのあまり、思わず私の目に涙が浮かびそうになってしまった。

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