マ王の花嫁 
「これはどこで手に入れたのですか?」
「ここよりまだ東にある、ユースティアという国で栽培されているものでして。緑茶の茶葉と、ここで穫れた赤稲の穂を交換したんでございます」
「あぁそう。で、これは?」
「ジャガイモを薄く切って菜種油で揚げ、塩で味をつけたチップスでございます」
「・・・美味しい。緑茶が渋味だから、塩味のものは合うわね。なるほど。ジャガイモにこういう食べ方があるなんて」
「ガンザではおやつとして、どの家庭でも食べてますよ」
「まあ、そうなの」
「サツマは」
「それが・・思ったより栽培が難しくて。それにジャガイモより小さく、水気が多すぎるため調理にも不向きでして。ユースティア産のサツマとは、えらい違いなんですよ」
「そうか。土地が合ってないのか・・・」

その「サツマ」という、ジャガイモに似たオレンジ色の小さな物体を睨むように見ながら、ブツブツと呟いているライオネル王の姿を見て、何故か私の顔に笑みが浮かんでしまった。

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