マ王の花嫁 
「・・・・・・・・の?王妃様?」
「えっ?あぁごめんなさい」と私は謝ると、何か聞いてきた女の子を抱き上げて、目線を合わせた。

「もう一度言ってくれる?」
「うん!王妃様は雪のくにからきた姫様なの?」
「雪の国?どうして?」
「王妃様の髪。雪みたいな色でとってもキレイだから」
「まあ嬉しい。でも・・いいえ。ラワーレは雪が降らない国なのよ」
「そう。じゃあ、王妃様は雪、みたことないの?」
「実はないのよ。あなたは雪を見たことがある?」
「あるよ!いちどだけ。すごーくさむい冬にね、ふったの!白くてキレイで、おくちに入れるとつめたいの!」
「まあ、そうなの」
「王妃様!冬、雪がふったら、またガンザにきて!」

今年、雪が降るかは分からないけど・・・とにかく冬が来るのは、数ヶ月先の話。
その時まで私はロドムーンの王妃として・・・いや、それ以前に生きているか否か、大いなる疑問だ。
それでも今は、私が心から想う願望を言う事くらい・・どうか許してほしい。
という気持ちを込めてニコッと微笑むと、「ええ、ぜひ」と答えて、女の子を地面におろした。

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