マ王の花嫁 
「さすがライオネル様。何をやっても格好良いねぇ」
「あの“魔王様”が洗濯を干してる御姿なんて、滅多に見れるもんじゃないよ」という声が、風と共に運ばれる。

「・・・“マ王”の本当の由来を知ったら、皆驚くでしょうね」と呟いた私を、ライオネル王は片眉を上げて「ほぅ?」と言った表情で見た。

「エイリークから聞きました」
「そうか。俺はそこまで毛深いとは思わないんだが」

真剣な顔で自分の両腕を見るライオネル王を見た私は、ついプッとふき出してしまった。

「私は誰にも言いませんから、どうぞ御安心なさって・・」
「別に言っても構わん。エイリークの他にも真相を知ってる者はいるからな。だが、人間は聞いた事を自分なりに解釈する生きもの故、自分がすでに構築しているイメージを覆すのは、なかなか受け入れ難い事だろう」
「確かに・・・。その心理を逆に利用して、貴方は次々と領土を支配下に治めているのですか?」

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