マ王の花嫁 
「あのっ・・今からどこへ行くのですか?」
「公爵の館だ。今夜はそこに泊まる」
「あ・・・そう、ですか」
「作物の件で公爵と話す必要がある上、明日行くウィンチェスター卿の農地へは、ここから行く方が近いからな」
「なるほど。分かりました。あのぅ・・ライオネル様?」
「なんだ、マイ・クイーン」
「・・・先ほどの・・・あれは、言い訳ではないと思いますよ」と私が言うと、ライオネル王はフンと鼻で笑った。

そして、私の手を少しだけ強くギュッと握るとパッと手を離し、「おまえの好きなように解釈をしろ」と言って、馬車までズンズン歩いた。

「ライ・・・」

私は、ついさっきまで繋がれていた左手を、ライオネル王の方へ伸ばしたけれど、それは王に触れる事もなく・・・パタリと下におろされた。

一体私は・・・何をしようと・・・そして言おうとしたのだろう・・・。

その場に数秒立ちつくした私は、ライオネル王の広い背中を追いかけるように、そこへ向かって早足で歩き出した。

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