マ王の花嫁 
「実は・・・と言いたいところだけれど、私はそういった特別な能力を持っていません。まして“魔法”なんて。ベリア族ではなくても、使える人はいないんじゃないかしら」と私が言うと、ライオネル王がフッと笑った。

「あらそうなんだ。期待外れだわぁ。ねぇライオネル様。万が一、貴方様が何を考えていらっしゃるのか、王妃様には手に取るように分かっていたら・・・どうします?」
「パトリシアッ!」

今度はライオネル王が、視線で公爵を黙らせた。

「別に良い」
「しかし・・」
「やましい想いを抱いていなければ、心の内を覗かれても構わんと俺は思うが。おまえはどう思う?マイ・クイーン」
「私は・・・ええ、私もそう思います」

と答えたものの、私はすでにライオネル王を・・・私に関わる多くの人々を騙しているんだ・・・。

罪の意識にさいなまれた私は、顔を背けて目を伏せた。

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