マ王の花嫁 
その時、「パトリシアッ!王妃様に向かってなんて無礼な口の利き方を・・・!まったく・・申し訳ございません王妃様」「どうぞ娘の不作法をお許しくださいませ」と言う公爵夫妻の声で、ハッと我に返った。

テーブルにくっつきそうなくらい頭を下げて、必死に謝る公爵夫妻とは裏腹に、言ったパトリシア本人は、のほほんとした感じで、ミニニンジンのグラッセを食べている。
ライオネル王も、素知らぬ顔でラムチョップに舌鼓を打ち、食事を楽しんでいるようだ。

とにかく、この場を丸く収めなければと思った私は、まず「いいんですよ公爵。そして夫人」と言って、頭を上げさせた。
そして、私は怒っていないから安堵してほしいという想いを込めて、二人に微笑みかけた。
何も口出ししてこない所を見ると、もしかしたらライオネル王も、私がどんな「魔法」を使えるのか、知りたいのかもしれない。

「・・・亡き母が、花や植物、そして薬草を少々栽培し、それらを店や学校等に卸販売をする事業を運営していたんです」

ナイフとフォークの手を止めて、「ほう?」と言ったライオネル王を見た私は、「貴方も知らない事でしたよね?」と言うと、ニコッと微笑んだ。

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