マ王の花嫁 
「・・・よかったのよ、これで。よかったのよ・・・ぅ、ううっ・・・」

私はズルズルとその場に崩れ落ちながら、泣きたいだけ涙を流した。
誰にも悟られないよう、静かに、一人で。

・・・怖い。でもこれは私一人でどうにかしなければ・・・。
でも、もしライオネル王に夢の事を話してしまえば、罪の意識から解放されて、あんな夢を見る事もなくなるかもしれない。
いっそのこと、ドレンテルト王の企てまで、真実を全て話してしまおうか。
とまで思い詰めたけれど、やはりそこまではできないと、思い留まる。

ひとまず泣き止んだ私は、顔を洗うために室内にある洗面所へ行き、顔を洗った。
そして、フカフカなベージュ色のタオルで濡れた顔を拭き、鏡に映る自分の顔を、じっと見ること数秒。

・・・夢の内容くらいだったら、言ってもいいのでは?
そうよ。ライオネル王に真実を全て話す必要はない。
そして怖いと正直に認めれば・・・もしかすると、王は私と一緒に寝てくれるかもしれない・・・。

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