マ王の花嫁 
意を決した私は、タオルをそこに置くと、また自室の扉を開けた。
そして一歩踏み出そうとしたその瞬間。
ライオネル王の部屋の扉をノックする、パトリシアの姿が見えた。

そしてノックをして数秒後。
右手にランタンを持ったパトリシアは、ノブを回して・・・部屋へ入っていった。

入る前、私の方に視線を向け、勝ち誇ったようにニヤッと笑って。

・・・やはりパトリシアが、今から行う“仕事”の相手だったから、さっき私が突然押しかけた時、ライオネル王は落胆した顔をした・・・いや。
実のところあれは、迷惑そうな顔だったのかもしれない。
そうよね。
もしそこでパトリシアと鉢合わせしてしまったら、3人共良い気はしないでしょうし・・・。
「一緒に寝たいんだろう?」とか言っておきながら、王本人にはその気すら無いと言うのに、私ったら・・・自分の恐れを無くす事ばかり考えて・・・。

一旦部屋へ戻った私は、ピンクの絹ガウンを脱いで、外出用の上着をあらたに羽織り、ブーツを履くと、静かに部屋を出た。

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