マ王の花嫁 
公爵邸の裏庭を、あてもなくブラブラと歩いた私は、そこで見つけたベンチに腰かけた。
途端に、私の口からため息がこぼれる。

日が暮れてしまった今は、ざっと見ることしかできないけれど、公爵邸の庭には、色とりどりの花が植えられていて、手入れも行き届いているようだ。
今度、時間がある時にでも、王宮の庭を散策してみようかしら・・・バーバラ様がこよなく愛された花壇を見て、何も考えずに手入れに没頭すれば、少しは気がまぎれるかも・・・いや。
その前に、ライオネル王がそれを許してくださるかどうか・・・。
疑惑満載の私を、常に目の届く所に置いておくか、それが叶わなければ、私がどこで何をしているのか、常に把握しておきたいようだし・・・。

足をブラブラと前後に揺らしながら考えていたその時、キャンキャン吠えるギータの声と、手をふりながら「王妃様!」と私を呼ぶレイチェルの姿が見えた。

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