マ王の花嫁 
小さなギータを抱きかかえたレイチェルは、小走りに駆けてくると「こちらにいらっしゃいましたか」と言った。

少し息切れしているところを見ると、私を探し回ったのだろう。
レイチェルは私の護衛をしてくれているから・・・もし私を見失ったら、彼女はきっと、自責の念に駆られるに違いない。
それ程レイチェルは、責任感が強く、自分の仕事に誇りを持っている女性だ。

私は、レイチェルに「ごめんなさいね」と謝ると、隣に座るよう、手で促した。
レイチェルは一瞬だけ躊躇したものの、「では」と言って、隣に座ってくれた途端、ギータが私の膝にモソモソと移動してきた。

「あなたに行き先を告げないで」と私は言いながら、ギータの頭や耳元を優しく撫でる。
キューンと嬉しそうに鳴く声までシーザーそっくりで、つい私の顔に笑みが浮かぶ。

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