マ王の花嫁 
「ご、ご冗談、でしょ・・・」
「このような冗談を言うために、私がわざわざおまえを王宮へ呼び寄せたとでも思うか」
「あ・・・いやでもっ!えーっと、そう!私と姫の外見は、あまり似ていないですし!私がジョセフィーヌ姫ではないと、すぐ分かってしまうのではないかと・・・」
「幸いにも、ライオネルはジョセフィーヌの外見を知らん。加えて、あちらが申し出てきたのは、ラワーレの姫(プリンセス)を娶りたいとのこと。だからおまえも一応該当者に値する。しかし、だ。私の隠し子であるおまえの存在を公にすることはできぬ。故に、おまえはジョセフィーヌ・ドレンテルト姫として、ライオネル王のところへ嫁ぐのだ」
「そ、そんな・・・私・・・私は・・」
「だからと言って、そのままの姿でおまえを送り込めば、疑いを持つ者もいるやもしれぬ。おまえには、姫としての教養が、ちと足りんようだからな」
「う・・・」
「いずれにせよ、おまえがジョセフィーヌに成りすましてライオネルの元へ嫁いだと、いつかはバレるだろう」
「だったら・・・」

婚姻の申し出を断る・・・ことはできないと、さっき王が言ったばかりだった・・・。

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