マ王の花嫁 
パトリシアがスッとライオネル王へ近づいた。
そして、ライオネル王の逞しい胸元に、両掌を這わせる。

『別に結婚しなくても良いんです。だって、私たちは・・・心がつながっていますから・・・貴方のお相手にあの王妃は・・・ちょっと、年寄りすぎじゃあありませんか?王妃の年齢は存じませんが』

フッと笑ったライオネル王は、体を反転させると、パトリシアを机側に追いやる。
パトリシアは、体を近づけた王の胸板に、顔を埋めるように抱きついた。

あぁ、確かに私は“淑女(レディ)”じゃないし、恋愛経験も皆無なまま、年を重ねただから、パトリシアみたいにこんな・・・妖艶な笑みを浮かべたり、“高度な戯れ”を自然に、なんて、とてもできない・・・。

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