マ王の花嫁 
馬車から降りるのに手を貸してくれたライオネル王は、またその手を繋いだまま、私のペースに合わせて走ってくれた。
私たちの前にいた視察1番隊と、後ろにいた視察2番隊の馬車も、止まったまま。
他の護衛のアールやオーガストの指示に従って、皆、馬車内に留まっている。

「国王様。王妃様。ここは危険かもしれませんので」
「危険ではありません・・・ほら」

最初、小さな点程の塊が見えたと思ったら、キャンキャンというあの懐かしい鳴き声が聞こえてきた。
ギータを追いかけていたはずのマーシャルとレイチェルは、いつの間にかギータの後を走っている。

「ギータ・・・ギータ!」
「キャンッ!!」

勢いよく私の胸に飛び込んできたギータを、慌てて抱える直前、ライオネル王はやっと手を離してくれた。

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