マ王の花嫁 
「やはりウルフを飼うのは止めた方が良いか」
「な、何を急にそんな・・・!」
「キャンッ!!」
「と思ったが、おまえがここまで喜ぶ姿を見せられると、やはりこいつを飼う事にして良かった」
「・・・はぁ」

突然とんでもない事を言ったと思ったら・・それでいて、優しくウルフの背を撫でているライオネル王のギャップは、私には理解しかねるわ。
それでも・・・。

「ライオネル様」
「なんだ、マイ・クイーン」
「ありがとうございます。ウルフもあなたと共に過ごせる事を、とても喜んでいますよ」
「・・・そうか」

ウルフから手を離したライオネル王の手に、私はそっと右手を重ね置いた。
「王も温もりを必要としている。少し構ってあげて」と、ウルフから“言われた”気がして。

「おまえと戯れるひと時は、やはり楽しい」
「そぅですか・・・」
「寝るか?ディア」
「たぶん・・」

ウルフの小さな温もりと、ライオネル王の熱い体と大きな手から温もりを感じた私は、安心してまた目を閉じた。

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