マ王の花嫁 
その時ライオネル王が、空いていた左手を、ウルフの方へスッと伸ばした。
私は阻止するように手を伸ばしたけれど、またしても王の方が早かった・・・。

どうしよう・・・。
それでもライオネル王を止めなければ!

「やめて・・・っ!」
「・・・どうやらブーツは噛んだだけで、食べてはいないようだな」
「・・・え」

ライオネル王は、左手でウルフの首、ではなく、口を開けて中を見ていた。

「もし食べていたら、吐き出させないといけないだろう?」
「え・・・えぇ、そう、ですね。でもこの子は、ブーツは食べ物じゃないと分かっているようで・・・どうやら貴方のブーツが気に入ったようです」と私が言うと、ライオネル王はハッハッハッと豪快に笑った。

その瞬間、周囲にホッとした空気が流れ出す。

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