マ王の花嫁 
29
私たちは「王妃と侍女が一緒に散歩をしている」という形を保ったまま、表面上は穏やかに話をした。

「視察先で小犬を拾ってくるなんて、一体どういうつもり!?」
「ウルフが追いかけてきたから、つい・・・」
「あなたは魔王を殺すためにここに来たのよ。覚えてるのっ?それなのにあなた、ここに馴染み過ぎじゃない?」
「そうだけど・・・」
「もうここに来て5日経ってるのよ。馴染む努力じゃなくて、一刻も早く魔王を・・・」
「その事だけど」と私はサーシャを遮るように言うと、「魔王」の本当の由来を、サーシャに話した。

< 282 / 400 >

この作品をシェア

pagetop