マ王の花嫁 
・・・ライオネル様には、一国を統治する王としての威厳がある。
そして大柄で屈強な外見そのまま、時によっては相手を脅かすほどの強さもある。
かと思えば、その体躯に似つかわしくない繊細さと、相手を気遣う優しい心をお持ちで。

そんなライオネル様に惹かれてない・・・・と言えば、正直嘘になる。
惹かれていないどころか、どんどん惹かれている、と思う・・・。

でも。
それを抜きにしても、私はライオネル王を・・・誰かの命を絶つ事なんてできない。
かと言って、このまま何もしなければ、私の「任務」は失敗したとみなしたドレンテルト王が、村の人たちを殺してしまう。
サーシャの命だって・・・。

あぁ、私は一体どうすれば・・・何をすれば良いの?

・・・少なくとも、あの夢―――ライオネル王が誰かに刺される夢―――は、ちゃんと見なければならないと思う。

いつ、どこで、誰が、ライオネル王を殺そうとしているのか。
もしかしたら単なる事故かもしれないけれど、もしそうなら、王に助言ができるかもしれない。
今の、今夜の私にできるのは、それだけ・・・・・・。

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