マ王の花嫁 
「すまぬ、メリッサ。おまえを守ることができなかった老いぼれを、どうか許してほしい」
「フィリップ・・・」

泣いている私を抱きしめてくれたフィリップは、私をあやしながら、「逃げろ」と、耳元で囁いた。

「え?」
「ロドムーンに着く前に、機会を見つけて逃げるんじゃ。わずかな隙も逃すでない・・・」
「いつまで別れを惜しむつもりだ?行くぞ」

馬車内に乗っているドレンテルト王の一声に反応した使者が、私のところへやって来て、腕を掴んだ。

「フィリップ・・手を離しなさい!私は自分で歩きます!」
「かしこまりました」
「メリッサ!ライオネル王を殺めるでないぞ!」
「フィリップ!」
「良いな?」

ただならぬ雰囲気を察したのか。
愛犬シーザーがキャンキャン吠えながら、私のところへ一直線に駆けてきた。

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