マ王の花嫁 
私は、横にあるテーブルにカップを置いた。
カチャンというカップの音が聞こえる。
もしかしたら紅茶をこぼしてしまったかもしれないけれど・・・そんな事、今はどうでも良い。

すぐに立ち上がった私は、ライオネル王しか見ていなかった。
そしてライオネル王も、私をじっと見ていた。

ライオネル王が、一歩私に近づいてくる。
と思ったら、あっという間に私のすぐそばまで来た。

「ライ・・・」
「無事だったか。マイ・ディア」

・・・何故この人は、こんな時まで私に優しくしてくれるのだろう。
何故私は、この人の笑顔を見て、安堵しているのだろう。
私には、ライ様の大きな手で頬に触れてもらう権利なんて、本来無いはずなのに・・・。

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