マ王の花嫁 
ライオネル王は大股且つ早足で歩きながら、部屋の扉をバンと開けると、すぐそばに控え立っていたニコたちを無視して、そのままツカツカと歩いて行く。
王に腕を掴まれている私も、王に引っ張られるような形で歩いた。

「王」
「出かける」
「どちらへ」
「ラワーレ王国」

端的に答えるライオネル王の声からは、どことなく苛立ちと怒りを感じる。
それだけに、王の口からラワーレへ行くと聞いた私は、口を「え」の形に開いたまま、隣の王を仰ぎ見た。

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