マ王の花嫁 
もうライオネル王と私が、今からラワーレへ行く事が知れ渡っていたのか。
部屋に着くなり私が目にしたのは、執事たちや侍女たちが、テキパキと部屋を歩きながら、服等の身の回りの品を、鞄に詰めている姿だった。

「終わったか」
「はい」
「通行証の指輪です」

ライオネル王は一つ頷くと、左手をスッと出した。
そこに指輪を持っていた執事が、王の薬指に素早く指輪を通す。

「ライオネル様、マントを」
「邪魔だ。いらん」
「ですが馬車ではなく、馬で行くのでしたら必要かと」
「・・・そうだな」

緋色のシルク地に、金や緑といった様々な色の糸で凝った刺繍が施されている豪華なマントを、喉元で留めてもらっているライオネル王が、私の方へ顎をしゃくったのと同時に、侍女のニメットが、私にマントを羽織らせてくれた。

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