マ王の花嫁 
「おまえは本当に腹が減ってないのか?」
「いえっ。空腹ではありません。それに、ニメットにも言ったとおり、仮に今食べてしまうと、馬の揺れで吐きそうになるので」
「そうか・・・。ジュピターは大きめの馬だが、それでも窮屈な思いをさせてすまないな」
「そんなっ!どうぞ私になどお気遣いなく」

こんな時までライオネル様は優しい。
本当に私に気づかう必要などないと言うのに。

「馬車より馬で駆ける方が早く着く。俺としては、明日中にはラワーレに着きたい」
「え!そうですか・・・でも、このスピードだと本当に明日着くでしょうね」と私が言うと、背後にいるライオネル王が、フッと笑みを浮かべたような気がした。

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