マ王の花嫁 
私を呼ぶ声音は、体の芯が蕩けそうになるくらい甘くて、視線を感じると言った時の声は、「戯れ」の時のように面白がっていて。
かと思えば、すねたような口調でどこへ行くのか聞いてきたし。
トイレに行くと分かって、納得したように「仕方ないな」と呟いた事から察するに、私がここから逃げると疑っていたのかしら・・・。
逃げたところで、行き場がないというのに。
第一、扉の向こうには護衛の誰かが必ずいるはずだから、逃げようがないと思うけれど・・・彼らに声、聞かれてしまった・・・わよね・・・。

途端、私の心身は、恥ずかしさでいっぱいに満たされてしまった。

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