マ王の花嫁 
結局、ライオネル様の事ばかり色々と考えながらトイレの小部屋から出ると、私の方をふり向いたライ様とすぐさま目が合った。
私は、条件反射のように、体に巻きつけているシーツを両手でギュッと握り、すぐにその手を離した。

出入口のすぐ近くにいたライオネル様は、黒いズボンだけをはいている。
そして、その両手には、湯気が立ち上る桶を持っていた。
室内のあちこちには、蝋燭が灯されている。

「洗い桶だ」
「あぁ・・そのようですね」
「湯浴みをするには時間が遅い。今夜はこれで我慢してくれ」
「え?これ・・私用に、ですか?」

驚きを顔に出しながら聞く私に、ライオネル様はニヤッと笑うと、「多分俺も使うぞ」と言った。

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