マ王の花嫁 
・・・今何時なのだろう。
空はすっかり暗くなっているけれど、外からはいまだに賑やかな声が聞こえてくるし、時折、カーテンを閉めている窓辺に、灯りがチラチラと映っている。

「どうした、ディア」
「あ・・っと、もうすぐ出発の時間でしょうか」
「今は夜更けだ。出発までまだ時間はある。おまえは収穫祭を見に行きたいんだろう?」
「いえっ!そんなこと・・・ないです、よ」

最後は自信無さ気に途切れながら答える私を見たライオネル様は、豪快に笑った。

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