マ王の花嫁
「あれは・・いくつの時だったのか、そこまでは覚えていません。母と私は森にいました。母の手のひらには小鳥がいました。その小鳥は両足を怪我していて、でも出血はしていなかったので、恐らく骨折をしていたのだと思います。小鳥は飛びたくても飛べません。足の痛み、仲間や家族とはぐれたのではないかという小鳥の怯えが、私にも伝わってきました。私は母に頼みました。小鳥の怪我を治してほしいと。母はニッコリ私に微笑むと、勿論よと言って・・・そして、もう片方の手を、小鳥の、怪我をしている部分にかざすように当てながら、両目を閉じて、何か呟き始めました。当時の私には、母が何を言っているのかは分かりませんでしたが、母が小鳥の両足を治してくれる事は分かっていました。そう、分かっていたんです。だから、それから数分後、何事もなかったように小鳥が飛び立った姿を見たのも、母と私にとっては、ごく自然の成り行きでした」