マ王の花嫁 
「ほぅ。恐らくおまえの母上には、生物を癒す能力を持っていたのだろうな」
「だと思います。そして母はよく、誰かと会話をしていました。私には時々視えて―――大半は感じて―――他の人たちには視えない存在と。母は、ベリア族の能力について、私には何も言いませんでしたが、小鳥の事等も含めて、誰にも言ってはいけない、そして母以外の誰にも、その力を見せてはいけないと、それだけはよく言われました。だからでしょうか、その、他の人たちには視えない存在の事は、時が経つにつれて、私はあまり感じなくなりました。その代わりなのか、人間の言葉を話さない動物や植物が何を言っているのか、全般的にではありませんが、分かるようになりました」
「例えばウルフか」
「そうです。でも、それは他の人たちには分からない事で・・・私も説明し難い事だし。やはり母の言ったとおり、この事は誰にも言わない方が良いと判断しました。そうして年月が経ち、一月程前から、夢を見るようになりました。元々夢は見ていたのだと思いますが、それは今までにない感覚で」
「予知夢か」とライオネル様に言われた私は、コクンと頷いて肯定した。

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