マ王の花嫁 
「・・・サ。メリッサ。ディア」
「・・・ん・・・」

ライ様が唇を中心に、顔中キスをしてくれたおかげで、私は目覚め始めた。

「もうすぐ出発の時間だ」
「あ・・・そぅ・・・」
「あまり寝かせてやれなくて悪かったな」
「いいです。それより、最後にもう一度だけ・・・」
「そのつもりだ」と言ったライ様の顔は、ニヤリとしていた。

・・・ラワーレの村人たちは、恐らくライ様に殺されることもないどころか、ライ様はきっと、ドレンテルト王の企みを阻止し、村の人たちを救ってくれるだろう・・・。
加えて一晩、ライ様から存分に愛された思い出があれば、私はもう、何も思い残す事無く・・・死ねる。

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