マ王の花嫁
38
初めて王宮(ここ)に連れて来られたのが、3週間程前だったか。
あの時、初めて生みの父親が誰であるか聞かされた上、見ず知らずの、そして今では、私が心から愛する人を殺せと命じられた事が、はるか遠い昔の事のように思える。
けれど、あの時の恐怖や、フィリップを人質に取られ、村人たちの命は保証しないとドレンテルト王から脅され、断る余地が無かった事・・・。
その時味わった無力感、罪悪感、絶望感が、あっという間によみがえった私は、その場から動けなくなってしまった。
フィリップや村の人たち・・・みんな無事よね?
でもシーザーはここにいないのか、気配を感じない!
灰色の冷たい石の王宮が上から迫ってきて、押し潰される感覚に囚われそうになったその時。
全身を震わす私を支えるように、ライオネル様が私のウエストにそっと手を添えてくれた。
そしてライ様が、私の耳元で「大丈夫だ、ディア」と囁いたのと同時に、重厚な扉が開いた。
あの時、初めて生みの父親が誰であるか聞かされた上、見ず知らずの、そして今では、私が心から愛する人を殺せと命じられた事が、はるか遠い昔の事のように思える。
けれど、あの時の恐怖や、フィリップを人質に取られ、村人たちの命は保証しないとドレンテルト王から脅され、断る余地が無かった事・・・。
その時味わった無力感、罪悪感、絶望感が、あっという間によみがえった私は、その場から動けなくなってしまった。
フィリップや村の人たち・・・みんな無事よね?
でもシーザーはここにいないのか、気配を感じない!
灰色の冷たい石の王宮が上から迫ってきて、押し潰される感覚に囚われそうになったその時。
全身を震わす私を支えるように、ライオネル様が私のウエストにそっと手を添えてくれた。
そしてライ様が、私の耳元で「大丈夫だ、ディア」と囁いたのと同時に、重厚な扉が開いた。