マ王の花嫁 
「ところで」
「ひ・・っ」

落ち着きなく手で顔を仰ぐドレンテルト王に、ライオネル様は、まだ安堵する隙を与える気はないらしい。
しきりに手で顔を仰ぎ続けるドレンテルト王を、ライ様は涼しい顔で見ている。
そのお顔が少しニヤけているところから、ライ様にはまだまだ余裕がある事が窺える。

「ジョセフィーヌ姫に会いたいのだが」
「うっ!」とドレンテルト王が唸った声と、そして「あっ」と私が出した声は、ほぼ同時だった。

すかさずライオネル様が、思わず口に手を当てている私の方を見る。

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