マ王の花嫁 
「はい。あの御顔立ちにあの容姿。加えて王としての威厳と采配力を兼ね備えておりますからね。ワタクシの贔屓目を抜きにしても、ロドムーン王国の御妃としてライオネル様の御傍にいたいという姫様は、たくさんおりましたのでございますよ」
「そう・・・」

・・・ライオネル王は、醜い外見をしていて、凶暴な性格で、計り知れない力の持ち主だから、「魔王」と呼ばれ、人々から恐れられているのではないの?
それなのに、ライオネル王のところへ嫁ぎたいという姫が後を絶たなかった?
でも・・・王宮にいる人たちは、誰一人ライオネル王のことを恐れてはいないように見える。
皆、王が私と結婚することを、心から喜んでいるようだし。
私が王の生贄になることを気の毒がっているようには、全然見えない・・・。

どうやら私の沈黙を、ニメットは誤解しているようだ。
「しかしですね、ライオネル様は他の女性には全く目もくれない状態ですから。どうかジョセフィーヌ様は御心配なさらずに・・・」と慌てて言った。
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