マ王の花嫁 
「こ奴は誰だ」
「いぃっ!?」
「ら、ライ様!?」
「キャンッ!」
「ライ王!こんなひよっこ相手に何嫉妬心むき出してんですか!」
「俺は嫉妬などしていない!ただ・・少し気になっただけだ」
「先程の威厳は跡形もなく消えたな」と呟くフィリップに、「王は時々、妙な所で大人気が無くなりますから」と、護衛のアールが小声で補足説明をするのを聞いて、申し訳ないと思いつつ、私はついクスッと笑ってしまった。

「ジャスパーはジュリアの弟です。二人はもちろん、ここの孤児院の皆には、収獲作業を手伝ってもらっているんですよ」
「・・・そうか?」
「はい。そして、ここにいる皆は、私の大切な友人です」
「・・・そうか」と、ライ様が満足気に言って頷いたのと同時に、「さあみなさん!おしゃべりの続きは中でしましょう!」と、シスター・マジュルカの快活な声が聞こえたのを合図に、私たちは―――シーザーも含めて―――皆、あかりが灯る院の中へと入っていった。

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