マ王の花嫁 
「あのぅ。あなたはライオネル王のことを、よく存じているのですか?」
「はいっ。ワタクシはライオネル様の乳母をしておりましたので、ライオネル様のことは御生誕の頃から存じておりますよ」
「まあ!そうでしたか」

もしかしたら、ライオネル王は恐怖ではなく、術を用いるか何かして、民を洗脳して国を統治しているのではないかと、一瞬考えてしまったけれど・・・。
どうやらその考えも違っているような気がする。
少なくとも、ここにいる侍女たちとニメットは、純粋にライオネル王のことを尊敬し、慕っているのは間違いない。

「ライオネル様は逞しく立派な成人になられましたが、ワタクシから見たら、ライオネル様は、いつまでも可愛い我が子のような御方で。やっとライオネル様が御結婚をする気になってくださって、ワタクシはとても嬉しゅうございます」
「ええ」と私が言ったところで、馬車の前に着いた。

こうして、ニメットたちに手を貸してもらって、豪華な王家の馬車へ乗った私は、婚礼の式を挙げる寺院へと向かった。

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