マ王の花嫁 
これは・・・肯定の返事と見ていいのかしら?
麗しく整ったライオネル王の顔には表情が見受けられないので、王が私の恰好を気に入ったのか、そうでないのか、私には判断がつかない。

でも、ライオネル王のこげ茶の瞳は、まだ鏡越しに私を見ていて・・・王の射抜くような視線に落ち着かない。

「まだか、ニメット」
「もう少しで終わりますよ・・・はい、出来ました」

私の髪を梳き終えたニメットが、サイドを緩くねじって結い上げたのと同時に、ライオネル王が私を鏡越しに見ながら、左手をスッと上げた。
すると、その先にいた侍女がスッと前へ出て・・・手に持っていたボレロを王に手渡し、また一歩下がった。
そして、むき出しになっている肩を覆う、ドレスと同じ色で、シルクジョーゼット地のボレロを、ライオネル王自ら、私に着せてくれた。

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