マ王の花嫁 
妃って・・・名前と素性を偽っている私が、このような思い出の品を受け継ぐことに、罪の意識を感じずにはいられない。
それでも、「髪を上げろ」とライオネル王に言われた私は、慌てて「はい」と返事をすると、条件反射のように髪を上げて、王にネックレスをつけてもらった。

ゴツゴツした王の指が、私の首をかすめる。
王の吐息を首筋に感じて、私の体が微かに震えてしまった。

私の胸の真ん中の少し上で光る、直径5センチはある大きな楕円形のブラックオパールに、私はそっと触れた。

日の光に反射したそれは、虹色にキラキラ輝いている。
アイボリーのドレスと、良いコントラストを醸し出しているわ・・・。

私は、鏡越しにライオネル王に微笑みかけると、「ありがとうございます。大切に使わせていただきます」と言った。
「ああ」と答えてくれた王は、やっと私に微笑み返してくれた。

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