マ王の花嫁 
昨夜この御方は、私が偽ジョセフィーヌ姫だと疑っていたけれど(実際偽者なんだけど!)、どうやらその疑念は晴れたようだ。
ライオネル王が自分の妻として、ジョセフィーヌ王妃として接してくれていることに、私は心から安堵していた。

「クイーンッ」
「え?はい?」
「また。視線が左にそれ過ぎです!」
「あ・・すみません」とアイザックに謝ったとき、ライオネル王が立ち上がった。

そして、見ため重そうな椅子を、左手だけで軽々と持ち上げながら、右に移動している様子を見た私は、やはりライオネル王は、計り知れない力の持ち主なのではないかと思ってしまった。

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