見上げた空は広かった
ハナは付き合ってみればなんて俺に言ったけれども、絶対嫌だ。
どこに彼女と付き合うメリットがあるのかわからなかった。
寝るには十分な相手だけれども一緒に穏やかな日曜日の昼を過ごすには退屈すぎる相手だ。

ハナは品定めするように俺の顔を覗いた。
同時に俺もハナの顔を見つめる。
ひとつひとつのパーツを見ると際立って美人とか綺麗だとは思わないけれども、バランスがいいんだろう。顔全体を見るとやっぱり可愛い。
あどけない中にどこか閉ざされた部分があってそれが僕の興味をそそる。

彼女の目が僕のパーツひとつずつに点数をつけて言っているようだった。
これで90点以下が出ると自信がなくなると思い彼女から顔をそらした。

彼女が言った通り、外見以外に特に自慢できるところのない俺はハナが品定めした後になんというのかが怖くて逃げた。

でもハナは僕の予想とは裏腹に「見た目は文句のつけようがない」と答えた。
僕自身の価値が少しだけ肯定されている安堵と今度もまた「見た目は」と見抜かれた寂しさを紛らわすために
「年下のくせに生意気だぞ」とハナに言った。
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