見上げた空は広かった
ハナは僕の「年下」という言葉に異様な反応を示した。
こいつもしかして僕の年知らないっけ？と思い「アルベルトの３つ年下だから」と答えるとハナはさらにギョッとした顔をした。

あれだけ一緒にいてなぜ知らないんだと僕は少しだけ戸惑った。

僕たちはスーパーに着くとまずカゴにビールを入れた。
「え、レオ箱買いするの？」ハナはギネスの缶を片手にきく。
「いやどうせ１週間すれば全部なくなるし、こっちの方が安く済むじゃん。ハナもちまちま買わずに箱買いしなよ」
「いや、でも置く場所ないし」
「アルベルトの部屋に置きなよ。あいつどうせ冷蔵庫空っぽだろ。それに僕たちアルベルトの部屋で始めること多いじゃん」
「さすがに図々しいよ」
「なんかさ、ハナとアルベルトって近いのか遠いのかわからないな」
僕はこの二人の距離感が少しだけ羨ましかった。
きっとアナは僕の部屋に勝手にビールを置くだろう僕の迷惑なんて考えず僕を所持していることを示したいがために置くだろう。

僕はアルベルトの部屋に躊躇なくビールを置く。
自分と彼が友達だという帰属意識を自分自身にも彼自身にも持たせたいために何も聞かずに置くだろう。

ハナはきっとアルベルトが自分に対してどういうイメージを持っているのかわからないから遠慮しているんだ。

きっと彼女も俺と同じくらいに怖がりな気がする。

アルベルトとの関係が他の誰よりも近いことは気がついているのだけれども、もし万が一それが自分だけの思い込みで、彼はそう思っていなかった時が怖いのだろう。
だから気がついているのに気がつかないフリをして、自分が絶対に勘違いをしていないということを先に証明させたいのだろう。

でも、ハナ。。。
そんなことしていたら一生すれ違いのまんまだ。


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