見上げた空は広かった
マリファナに酔ってしまったのか分からないけれどもこの黙っている短時間の間に俺は彼女が出て行った日の事を思い出した。
「いいかげんにして、あなた一人の問題じゃないの」
それが彼女の最後の一言だった。
振り返ってみれば彼女の言うとうりだ。
傷ついていたのは俺一人ではなくて君だって同じだった。
俺は誰かを気にかける事ができる余裕がないくらいいつも傲慢なんだと気がついた。
だから18歳の俺も21歳の俺もそして今23歳の俺も一人なんだと受け入れるように納得していた。
周りに人がいるのに孤独。
人と深く交わるのが怖いから自分のことを知らない人だらけのところに移った。
でも臆病だから結局、イタリアからさほど離れていないスイスにしか移れなかった。
隣にいるハナのように一人で海を渡ってまで一人になれるほどやっぱり俺は強くない。