見上げた空は広かった

「どんな家で育ったの？」
少しだけ彼の事が知りたくなった。

「普通だと思うよ。お父さんは大きな会社の役員だったから母さんはずっと家にいた。兄弟はいなかったけど、近所には同い年の子や少し年下の子がいて家族のように暮らしてて、中学までサッカークラブに入ってた。怪我してやめた。そのまま地元の大学に進学したんだけど退学になりそうになったからそのまま単位移行できるスイスの大学に編入した」
アルベルトは淡々と話した。

「なんでローマの大学退学になりかけたの？」


その瞬間、アルベルトの目つきは一瞬暗い闇を見つめているようだった。