見上げた空は広かった
成り行きでハナと寝た。

アジア人と寝たのは人生で初めてだった。
変な期待持たせてしまったかもしれないと思うと少しだけ後悔とめんどくさいという気持ちになった。
でもそれと同時に彼女を守りたいと思う自分がいた。
何から守るのだろうか。
俺は君のことを何も知らない。

ハナがあの子に似ているから守りたいのか。
自分でも何がしたいかわからない。

俺は左横に寝ているハナの頭を右手で撫でた。
その拍子に起きたハナはニコッと何もなかったかのように微笑み俺の瞳を見つめた。

どんなに彼女の瞳の奥をのぞいてみようとしても覗けなかった。
そのまま彼女は俺の唇にキスをする。


そして黙ったまま洋服を着てまたいつものように
「またね」
と言って部屋かに帰って行った。

こういうことに慣れているのか、強がっているのか。
よく分からない。

「天才に求められる最初で最後のものは真実の愛だ」
昔読んだゲーテの本に書いてあった。
ふと思い出す。
天才でなくても人として求められる最初で最期のものは真実の愛ではないだろか。

愛なんてよく分からない。
後悔とハナが抱いてくれた少しの温もりが俺の体を駆け巡り眠れなかった。
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